ピリンちゃんは履歴書恐怖症

 

履歴書恐怖症とは私のようなパッパラパー生活を送っているものにはわりかしありがちな症状なのではないか。
25歳、大学入学当初から常にお金を持っているとは言えない状況であった私は数多くのアルバイトをこなしてきた。
これはまた別のことになるので深くは触れないでおくが、根本的に自分の女性性に対する自信が非常に薄いおかげか身体で稼ぐようなことをしたことはない。特に偏見があるわけではないので私が人並みに身長があって人並みに容姿に恵まれていたらパパ活だろうが水商売だろうがバリバリして稼げるうちに稼いでもよかっただろうとは思っている。


高校生で働いたマ○ドナルドから始まり、大学一年生らしく居酒屋でアルバイトをして同僚のウェイに混ざって偽物の狂乱に溺れたときもあれば地元のヤンキーとメンヘラ女に囲まれながらガールズバーでバイトをしていた時期やいかにも京都な小料理屋でおかみに京都特有の嫌味を浴びせられながら働いていたこともある。
この辺はまだ普通の部類で、大学後期ではコスプレに興味もないのにただ楽だからという知人の勧めにより働きはじめたコスプレバーのアル中マスターと妙にウマが合い、ここでアル中英才教育を受けてしまった為に営業終了後も朝まで飲んだくれることを覚えた。


アル中生活からの復活をかけて始めたエステのバイトではひたすら穴を掘って女性たちを熱い砂に埋めては「デトックスしてますよ〜」と胡散臭い声をかけ、更に胡散臭い店主のマダムと常連のエンジェルスピリチュアルカウンセラーを名乗る謎の大金持ちのおばさんのスピリチュアル会話に耳を傾けた。


余談な上に完全に私のただの経験則だが、京都には胡散臭い人間が妙に多い。
すぐそこに寺や神社があるのにも関わらずやたらと「〜宇宙に身を任せましょう〜」というような胡散臭い上に手っ取り早いスピリチュアルが横行している。鎌倉時代浄土真宗をはじめとしたお手軽宗教が流行った土地柄もあるのかそういったお手軽スピリチュアル会話をする人間が多いのだ。
ちなみに私がこの世で一番信じているお手軽スピリチュアルはしいたけ占いである。
しいたけ占い魚座を通して私を語っている。しいたけには最早バーナム効果なんてものは通用しない。彼は現代までこっそり生きながらえた卑弥呼そのものか卑弥呼の血を引く子孫に間違いない。


話が逸れてしまったがその後はライブハウスでバイトをしたりコールセンターでバイトをしたり鉄道番組を製作している小さな会社のロケに一応ADという名目で着いてってはこれまたスピリチュアルな社長の話に相槌を打つバイト、それの派生でなぜか無償で30分間地方のラジオ番組で喋り倒すラジオパーソナリティーなどもやったが、話が下手すぎたために無償なのに三カ月でクビになったり…で転々としてきてやっと二年前、児童館で働きながら夜だけ家出少女の世話をするバイトをしたりといった感じである。
語ろうとしても語り尽くせないくらいバラエティ豊かでそこそこ面白い話もあるにも関わらず、履歴書に書けるようなことがあまりにも乏しく、悔しくなったからここにだけ書き記しておく。
いつかこんな話が役に立つ日は来るだろうか。

 

どの仕事もそれなりの面白さがあったとはいえ、どうしても止むを得ず東京に来たくて辞めた、家出少女の家のバイトと児童館のバイト以外は自分という人間の社会への不向きさを固めてしまっているだけなのである。

 

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