怪しいホームパーティー2
マンションに辿り着いた。普通のマンションの普通の二階。
青年がピンポンと鳴らすとドアが開く。
その開閉の隙間があまりに僅かだったことにも怪しさを感じてしまう。
私達が入ると、まず玄関がありその先に真っ白い部屋が広がっていた。
雑然としているのに生活感がない。
キッチンの横にはホワイトボードがあり、その前にテーブルが設置されていた。
中にいたのは紹介したいと言っていた女性と、20〜30代前半程度の男性二人だった。
家で男女三人で遊んでるにしては仲良さそうには見えなかった。
青年が簡単に私に関して「イラストレーターで…」と紹介した。警戒心マックスの私は必要以上に喋らないようにしながらも定番的に「絵を見たい」と言われ
iPadの絵フォルダを見せた。
その女性は「スゴーイ」と言いながらも興味なさそうにスクロールしある絵のところで手を止め、
「なに、コレ。レズ?」と言って笑って見せた。
それは顔が割れて悟りの顔が出てきてる仏像をモデルにして、もう一人同じ顔の女の子がその顔だけの像を愛おしそうに抱えている絵なのだが
別に受け取り方は人それぞれなのでどうとってもらっても構わない。
しかしその、何も考えずに「言ってみたら面白いんちゃうか?!」という中学生じみたノリで相手の魂掛けてるものを笑いにしようとできてしまう思慮の浅さが心底無理だと感じた。
それから定番的に料理の話になって、その女性が料理の講釈をしてくださるのである。
「料理って食べたいものがすぐに自分でできるでしょ。夢はすぐに叶わなくても料理ならすぐに現実化できる…!」
言ってることはわかるが現実化という言葉が出てきた時点で半端なく胡散臭いし人に押し売りしようとする人の料理を食べたいとは思わなかった。
その流れで料理はするの?と聞かれ「ダイエットしてるので…」と話す。
ダイエットは何でしてるの?と聞かれたので「もうじき東京に引っ越すから」と答えたあたりから部屋にいる5人中、私と私の横にいる20代の男以外の3人が携帯を触りだす。
おそらく互いにLineでやり取りをしているのではないかというのがわかるようなタイミングであった。
そこから私に普通の会話にしては面接じみた質問のみの会話が振られることは殆どなくなった。
また、この家の主だという30代鍼灸師の男性が水を入れる瓶を持って席を立ったとき、向こう側に部屋はないのに何故か玄関からこちらを伺う女性と相対している姿が見えた。
そして、それには誰も触れない。
何でインターホンもなってないのに玄関の外からそんなタイミングよく人がやってきてそしてまるでいなかったかのように消えたのか。
ここに長くいてはいけないのではないか、この水すらも飲まないほうがいいのではないかという思いが頭をよぎる。
ちなみに私がその家まで行って出されたのは水だけなのである。
ちなみに30代鍼灸師は下らない下ネタやナンパの話しかしない。
私と同じように「連れて来られた側」らしき横の20代男性がダイエットで悩んでるというようなことを言うと
女性はここぞとばかりにダイエットに関する蘊蓄を語った。
「ダイエットすると老ける人とかいるけど本当のダイエットは痩せて身体が健康になって見た目が綺麗になることだから」
そう語る彼女は29歳らしいが肌が脂で光っていてボコボコとしたニキビ跡のようなものも目立っていた。
〜3へ続く〜